世界地図を見ていると、時折「なぜこんなところにこの国の領土が?」と思うようなことがあります。
これは「飛び地」と呼ばれるもので、ある国の領土の中に割り込む他の国の領土のことを指します。
今回は、飛び地の中でも特に世界的に有名な「セウタ」について徹底解説します!
セウタとは?
セウタは、アフリカ大陸に位置するスペイン領の飛び地です。
モロッコと陸続きの地中海に突き出た半島で、スペイン本土とはジブラルタル海峡を挟んで向かい合っています。
全長は5kmほどで、そこに8万人以上の人々が暮らしています。
セウタの歴史
セウタは海運の要衝(チョークポイント)のジブラルタル海峡に面していることから、かねてよりその重要性が認識されてきました。
そのため、各国によるセウタの争奪戦が幾度となく繰り広げられてきました。
様々な国に支配権が移ろう中、16世紀にスペインがセウタを支配して現在に至ります。
貿易の拠点として繁栄したセウタには世界中から商人が集まり、現在もスペイン本土では見られない多様な文化が混じり合う街並みが形成されています。
また、常に戦場となってきたセウタには、時の支配国が建造・増築した城塞が残存しており、街の入り口の城塞はランドマークにもなっています。
このように独特の雰囲気があるセウタは観光地としても人気が高いのです。
チョークポイントについてさらに詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
セウタは亡命の中継地?
多様な文化が入り混じる魅力あふれるセウタですが、実はアフリカからヨーロッパに亡命する際の中継地になっているという現状があります。
アフリカとヨーロッパの間には地中海があり、最狭部のジブラルタル海峡でも約14km離れています。
さらに、ジブラルタル海峡は地中海と大西洋がぶつかるポイントとなるため潮流が激しいことから、泳いで渡るにはかなりの困難を極めます。
一方、セウタはアフリカのモロッコと陸続きで接しており、比較的越境の難易度が低いことから、亡命の足掛かりとして利用されることが多いのです。
セウタ経由の亡命の実態
セウタに越境できた人々は、収容所に収監されたのちに亡命申請が通れば無事にヨーロッパに渡ることができます。
ただし、いくら陸続きとは言えセウタに越境することは容易ではありません。
セウタとモロッコの間には、有刺鉄線が張られた約6メートルの二重のフェンスが立ちはだかる上、総勢1000人以上とも言われるスペイン警官や治安警察官が常駐しています。
この防衛線を突破するべく様々な方法が試行されてきました。
過去には何百人もの人々が一斉にフェンスをよじ登る人海戦術で、数名が越境を成功させています。
また結果的に失敗に終わりましたが、ペットボトルを救命胴衣代わりにモロッコから泳いでセウタへの越境を試みた少年もいました。
このような一連の行為は、亡命者とスペインの警察両方の負傷者を出すことがあります。
まとめ
今回は、アフリカにあるスペイン領の飛び地「セウタ」について解説しました。
独特の雰囲気が観光客を魅了している一方、アフリカの人々の亡命に利用されているという一面もお伝え出来たかと思います。
セウタにまつわる知識を現在と照らし合わせてその背景を考察することで、物事を多面的に捉え、世界や自身の人生をより良いものにしてみて下さい。
参考文献
一般財団法人東京都測量設計業協会:https://www.sokuryo.or.jp/db/tobichi
NHK:https://www6.nhk.or.jp/sekaimachi/archives/data.html?fid=180424
テレビ東京:https://www.youtube.com/watch?v=jZdNfhxbwug
朝日新聞社:https://globe.asahi.com/article/11832345