隣国の脅威が叫ばれるここ最近、特に注目を集めている学問が地政学です。
そんな地政学を学ぶ中で外せない概念として「チョークポイント」というものがあります。
今回は、チョークポイントの概要および日本にとって特に重要と言われている6カ所のチョークポイントについて解説します!
チョークポイントとは?
チョークポイントとは水上の要衝とも呼ばれる海峡や運河などを指します。
海運においては、チョークポイントは必ず通過しなければいけない場所となります。
また国防においては、チョークポイントを抑えることで他国の軍事行動を制限することができます。
日本は石油や天然ガスなどのエネルギーのほとんどを海外に依存していること、また四方を海に囲まれた立地であることから、海とは切っても切れない国です。
その点において、チョークポイントは日本の経済や安全保障を考える上で注視すべきものであると言えます。
日本にとって特に重要な6カ所のチョークポイント
世界のチョークポイントの数は諸説ありますが、10カ所程度というのが一般的です。
今回は、その中でも日本において特に重要と言われるチョークポイント6カ所について解説します。
1.スエズ運河
エジプトに位置し、地中海と紅海を結ぶスエズ運河は、アフリカ大陸の南を大回りすることなくヨーロッパとアジアを結びます。
2021年には日本の大型コンテナ船がスエズ運河で座礁し、約1週間にわたり船の往来がストップしてしまいました。
その結果、日本円で1100億円にものぼる損害額が発生したとされており、スエズ運河の地政学的重要性を再認識させられる事件となりました。
2.バブ・エル・マンデブ海峡
紅海とインド洋の間に位置するバブ・エル・マンデブ海峡も、スエズ運河と同様にヨーロッパとアジアを短時間で結びます。
日本はアフリカ大陸のジブチ共和国に自衛隊の拠点を設け、この付近で多発している海賊の対策をしています。
自衛隊の海外拠点はこれが唯一であることから、日本におけるバブ・エル・マンデブ海峡の重要性がうかがえます。
3.ホルムズ海峡
ホルムズ海峡はイランとオマーンの間にあります。
この付近は世界有数の産油地であり、日本に訪れるタンカーの約8割がこの海峡を通過すると言われています。
4.マラッカ海峡
インドネシアとマレーシアの間に位置し、水上モスクがある場所としても有名なマラッカ海峡は、中央アジア以西と東アジアを結びます。
ホルムズ海峡と並んで日本の原油の輸入に対して重要な海峡です。
また、バブ・エル・マンデブ海峡と同様に海賊が多発しており、付近の安全保障が必須となっています。
5.宗谷海峡
宗谷海峡は北海道北端と樺太の間にある海峡です。
北極海を経由する「北極海航路」が開通した際に世界の要衝となり、日本に経済的・軍事的に大きな影響を与える可能性があります。
北極海航路や開通時の日本への影響について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
6.津軽海峡
津軽海峡は青森県と北海道南端の間にある海峡です。
宗谷海峡と同じく、北極海航路開通時の要衝となる可能性を秘めた海峡です。
まとめ
今回は、地政学を理解するうえで重要な概念である「チョークポイント」の概要および日本にとって重要なチョークポイント6カ所について解説しました。
チョークポイントという概念は、国の安全保障の観点から必ず意識しなければならない事項であることをお伝えできたかと思います。
チョークポイントに関するニュースや世間話を耳にした際は、本記事の内容を思い出してくださると幸いです。
参考文献
株式会社Spectee:https://spectee.co.jp/report/suez_chokepoint/
サクッとわかるビジネス教養 地政学:https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784405120099
NHK:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210412/k10012969561000.html
朝日新聞:https://www.asahi.com/articles/ASR4T7TQCR4TUHBI021.html
国土交通省:https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/ocean_policy/content/001402278.pdf
社會部部長:https://www.youtube.com/watch?v=U1LDjKNN-go