自衛隊は、国の防衛や災害時の救助などを主たる任務とする日本の組織です。
「自衛のため必要な最小限度を超えるもの」を戦力として保持しないことが憲法で定められている自衛隊ですが、実は海外に1つだけ拠点を構えています。
その場所はジブチ共和国です。
今回は、ジブチ共和国の基礎知識から自衛隊が拠点を置く理由について徹底解説します!
ジブチ共和国とは?
面積 | 23,200平方キロメートル(四国の約1.3倍) |
人口 | 100.2万人(2021年、世銀) |
首都 | ジブチ |
言語 | アラビア語、仏語 |
宗教 | イスラム教、キリスト教 |
経済成長率 | 4.3%(2021年:世銀) |
ジブチ共和国はアフリカ大陸の赤道付近に位置する、四国の1.3倍ほどの大きさの国です。
長らくフランスに統治されていましたが1977年に独立し、以降は中継貿易等の運輸業を中心に経済を発展させています。
外交では、旧宗主国のフランスを初め、隣国のエチオピアやソマリア、アラブ諸国のサウジアラビアなどとバランスを取った関係を築いています。
ジブチ共和国に自衛隊の拠点がある理由
ジブチ共和国に自衛隊の拠点がある理由を一言で言うと、チョークポイントのバブ・エル・マンデブ海峡を守るためです。
バブ・エル・マンデブ海峡は、海運においては必ず通過しなければいけない場所、国防においては他国の軍事行動を制限できる場所として、その重要性を各国が認知しています。
日本にとってもそれは例外ではなく、国の経済や安全保障を考える上で注視すべき海峡と認知しています。
そのような中、バブ・エル・マンデブ海峡付近では海賊が多発しており、その対策が必要でした。
こうした背景から、日本は2009年に紅海の入り口に位置しバブ・エル・マンデブ海峡に面したジブチ共和国に自衛隊の拠点を構築したというわけです。
チョークポイントについてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
近年重要性を増しているジブチ共和国の拠点
(https://www.youtube.com/watch?v=imaM_F-ibkU)
2009年にジブチ共和国に拠点を設けて以降、海賊事案は2011年の237件をピークに激減し、2019・2020年は2年連続で0件となりました。
自衛隊の活動が事案減少につながった可能性が示唆されています。
このように、当初の目的であった海賊対策はほぼ達成された一方、近年は以下の観点から拠点の重要性がさらに高まっています。
1.各国との軍事情報共有の場
自衛隊の拠点の周りには、アメリカやフランス、中国など海外の軍事拠点があります。
そこで行える各国軍との情報共有は、日本において特に重要視されているのです。
2.中東やアフリカの日本人保護の拠点
2023年4月にはスーダン、10月にはイスラエル・パレスチナの情勢が悪化したことに伴い、政府は2023年12月に、ジブチ共和国の自衛隊が有事の際に日本人を保護するよう決定しました。
2024年からは、必要な装備や施設の整備が開始されるとともに、ジブチ共和国に拠点を構えるアメリカやフランスの軍隊とも連携を強めることが想定されており、より一層拠点としての重要性が高まることでしょう。
まとめ
今回は、自衛隊唯一の海外拠点があるジブチ共和国について、基礎情報と拠点を置く理由を解説しました。
日本人にとってあまり馴染みがないかもしれないジブチ共和国は、国の安全保障において重要な場所であることがお伝えできたかと思います。
海外で業務に打ち込む方々のおかげで、今の自分の平穏な生活があることを忘れてはならないと記事を書きながら感じました。
日々のニュースなどでジブチ共和国を見聞きした際は、国のために頑張る方々に感謝の思いを馳せてみて下さい。
参考文献
陸上自衛隊:https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/about/
衆議院:https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/1800531_point.pdf/$File/1800531_point.pdf
外務省:https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/djibouti/data.html
朝日新聞:https://www.asahi.com/articles/ASR4T7TQCR4TUHBI021.html
日本テレビ:https://www.youtube.com/watch?v=imaM_F-ibkU
NHK:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231222/k10014295951000.html